講座 薬物治療のアップデート・第2回
脳卒中の薬物治療アップデート
黒崎 みのり
1
,
和田 直樹
2
Minori Kurosaki
1
,
Naoki Wada
2
1群馬大学医学部附属病院
2群馬大学大学院医学系研究科
pp.1012-1017
発行日 2016年8月15日
Published Date 2016/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001200698
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CHECK POINT
□脳卒中の薬物治療での最近の話題は?
□脳卒中の再発予防に重要な治療は?
□痙縮に対する薬物治療は?
はじめに
遺伝子組み換え組織プラスミノーゲン・アクチベータ(rt-PA,アルテプラーゼ)静注療法や血管内治療の進歩,病院前救護の整備や啓蒙,Stroke Care Unit(SCU)の整備等により,脳卒中の急性期治療は進歩している.しかし入院受療率は依然として増加している,寝たきりや認知症の原因の第1位である等,脳卒中は今なお重要な疾患である.
脳卒中が疑われる患者が来院したら,臨床症状に応じてCTやMRI等の画像診断を行い,可及的早期に病態を含めた診断を行う.出血性疾患であれば再出血や出血の増大を防ぐことが,虚血性疾患であれば虚血の解除あるいは虚血の進行を防ぐことが,治療の主目的となる.並行して,呼吸不全や脳浮腫,痙攣発作等,合併症の治療を行う.診断がつき,症状の進行が落ち着いた時点で,早期からリハを開始する.ベッド上での訓練から開始し,バイタルサインの安定,意識障害の改善とともに離床や基本動作,ADLの訓練を行う.状態が安定すると回復期リハ病棟でのリハを行い,さらに維持期のリハにつなげていくこととなる.急性期から慢性期までの脳卒中の薬物治療について,「脳卒中治療ガイドライン2015」1)に基づいて述べる.
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