増刊号 実践に役立つ! 生活行為向上マネジメント
第4章 教育現場での実践例
2 生活行為向上に焦点を当てた臨床推論を学内教育から身につけて臨床実習につなげる
小林 幸治
1
,
大西 健太郎
2
Koji Kobayashi
1
,
Kentaro Ohnishi
2
1目白大学
2高齢者在宅サービスセンター西新井
pp.938-944
発行日 2016年7月20日
Published Date 2016/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001200679
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従来の臨床教育における「作業ができるようになる」支援経験の乏しさ
従来の臨床教育(臨床実習)で学生は作業療法臨床をどう経験してきたであろうか.①個別の要素に対する機能評価(検査)を行う(初期評価)ことに日数が取られ,治療介入経験は相当に限られる.②活動や参加への支援を現場経験する機会は少ないか見学に限られる.③当事者の個人・環境因子を把握したうえで要望,心境を聞く経験も少ない.④当事者の生活上の課題が何かを指導者と話し合って理解する機会やそれを記述する練習もしたことがない.やや極端な指摘に思われるかもしれないが,われわれはこうした例が比較的多いととらえている.
ここには臨床実習を指導するうえで,臨床教育者(以下,CE)が陥りやすいわながあると考えられる.①まず機能評価ができないと学生に治療や介入をさせても意味がない,その資格がないと考える.②レポートを書かせないと学生の理解状況が把握できないと考える.③レジュメ等をまとめる際,ヒントは与えても,1人で考えさせなくては意味がないと思う.④生活行為向上マネジメント(以下,MTDLP)は,臨床家でも若手には難しいので学生にできるはずはない.卒後で構わないし,それよりも優先することがある,と思われているのではないか.
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