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Key Questions
Q1:訪問作業療法の目的は何か?
Q2:訪問における作業療法士の役割は何か?
Q3:多職種がチームで訪問する意味は何か?
はじめに
病気やけが等により医療を必要とする方に,医師や看護師等が病院や診療所から自宅等に訪問し診療を提供することは,古くから常に行われてきた.そのことが診療報酬上で往診や訪問看護として明記された歴史は異なるが,その必要性は時代とともに大きくなっている.在宅医療が診療報酬上で制度化されたのは,1981年(昭和56年)のインスリン在宅自己注射指導管理料の導入からである.それ以降,在宅での診療や看護は拡大評価されている.
精神科医療において訪問看護やアウトリーチの重要性が語られ,強調されるようになったのは,2004年(平成16年)に厚生労働省から示された「精神保健医療福祉の改革ビジョン」に始まると思われる.その後,さまざまな検討会では「入院医療中心から地域生活中心へ」の理念を実現するために,救急・急性期医療の充実に加えて,長期在院者の退院促進,地域移行・地域定着の施策として,訪問看護や多職種によるアウトリーチが重要であることが,都度強調されてきている.診療報酬上でも訪問看護に看護師以外の職種が複数で訪問することが評価されるようになり,加えて訪問看護ステーションにおける精神障害者への訪問を強化する動きが強化され,2010年(平成22年)に診療報酬上での統一化が図られた.
精神科においてOTが,対象者の生活の場で支援を行うことは,その特性から至極当然のことと思われるが,実践している者は少ないと推察する.しかし,OTが,対象者の地域生活を支援する職種として有効に機能するためには,入院中には退院前訪問,退院後の訪問支援を他職種と連携しながら積極的に展開していく必要がある.診療報酬上の課題は大きいが,各施設での努力が求められている.
本稿では,宮城県立精神医療センター(以下,当院)における作業療法の変遷,訪問看護ステーションにおける多職種アウトリーチの実践と作業療法の役割を紹介し,今後,ますます重要となる訪問支援を中心とした地域生活支援におけるOTの役割を考察する.
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