Japanese
English
特集 精神障害を地域で支える
統合失調症患者の退院支援と地域移行—その現状と課題
Introduction of practice guides of psychiatric inpatient treatment to facilitate discharge of patients with severe schizophrenia
安西 信雄
1
,
吉川 隆博
2,3
Nobuo Anzai
1
,
Takahiro Kikkawa
2,3
1帝京平成大学大学院臨床心理学研究科
2東海大学医学部看護学科
3一般社団法人日本精神科看護協会
1Graduate School of Clinical Psychology, Teikyo Heisei University
2Faculty of Nursing, Tokai University
3Japanese Psychiatric Nurses Association
キーワード:
統合失調症
,
入院治療
,
退院支援
,
地域生活支援
Keyword:
統合失調症
,
入院治療
,
退院支援
,
地域生活支援
pp.833-839
発行日 2021年9月10日
Published Date 2021/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552202303
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
わが国の統合失調症患者の置かれている状況と退院支援・地域移行の課題
統合失調症は,主に思春期・青年期に幻覚や妄想などの陽性症状を伴って発症し,再発を繰り返して慢性化しやすい疾患である.再発を繰り返すうち,陽性症状が治りづらくなったり,意欲や自発性,思考のまとまり,感情の乏しさなどの陰性症状と呼ばれる症状が次第に顕著となることが多い.これらのため就労や就学などの社会生活がうまくいかなくなり,家族や友人などとの人間関係も困難をかかえるなど生活面の障害(生活障害)が問題となる.統合失調症の有病率はどの国でも人口の約0.7〜1%とされ,それほどまれな疾患ではない.思春期・青年期という人生の基礎をつくる大事な時期にこの病気に罹患することは,これらの人々のその後の人生にさまざまな困難をもたらす可能性がある.
統合失調症の発症や再発時には幻覚・妄想などの陽性症状とともに興奮や行動上の問題が顕著になることが多く,本人はもちろん患者を支える家族にも不安や負担を与える.あらゆる疾患について,病気の人を支える介護負担の大きさを評価した世界保健機関(World Health Organization;WHO)の調査によると,統合失調症を中心とする急性期精神病の介護負担の大きさがトップクラスに評価されている1).
Copyright © 2021, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.