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1.開発の経緯
今後,生活期のリハの重要性はますます高くなることが推測される一方で,現在,リハに療法士がかかわることの効果は十分示されているとはいえない状況にあります.それは療法士自身にも責任があり,何よりきちんと評価をせず,漫然とリハを実施してきたということがその要因にあるのではないでしょうか.せっかく利用者の自宅にうかがっても,機能訓練だけしか行わないケースも多いと聞きます.その一方で,厚生労働省は今後,介護保険関連のサービスでは,通所リハと通所介護を整理して自立支援型のサービスとして位置づけることや,訪問リハについては期限を導入するといったことがいわれています.このような背景がある中で,東京都の三士会長会議において,訪問版の評価表を作成する合同プロジェクトが立ち上がりました.
この事業は最初から円滑に進んだわけではありませんでした.私たちはPT・OT・STの三職種間で,評価するべき大切な項目と考える内容がかなり異なっていることに気づかされました.このため共通の成果物に向かっている実感がなかなかもてませんでした.リハの指標を共有することがこれほど大変な作業になるとは想像しておらず,3つのミニ評価表をくっつければいいといった感じになりかけもしたのです.しかし,話し合いを重ねる中で,あくまで焦点は利用者の生活であることを再確認しました.この時期の利用者は右肩上がりというわけにはいきませんが,訪問リハによって生活しやすくなる,介護しやすくなるということはよく実感されます.そのことを示せる物が必要だ.それはFIM等,従来のADLの評価では表せない利用者や介護者の主観的な部分だ,といったポイントについて間違いなく共通した認識であることがわかってきました.
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