特集 病院医療の質の改善
医療の質の評価の手法を探る—「東京都私立病院会JCAHO研究会」の試み
郡司 篤晃
1
,
丸山 夕香里
1
Atsuaki GUNJI
1
,
Yukari MARUYAMA
1
1東京大学医学部保健学科保健管理学教室
pp.475-479
発行日 1991年6月1日
Published Date 1991/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541900935
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医療の質の評価の必要性
近年我が国においても医療の質を保証する明確なシステムの必要性に対する認識が急速に高まってきた.そのためには医療の質を評価する手法の開発が前提となる.このような要求の高まりは以下のような理由で必然的なものであり,したがって今後も一層の高まりが予想されることから,十分な対応が必要である.
近年の医学・医療技術の発達は人類に対して多くの福利をもたらした.しかし,一方旧来にくらべて大型の施設・設備と組織を必要とするようになり,そこで行われる診断や治療のプロセスもますます複雑化してきた.また,それに要する費用も膨大なものとなり,その使途についても責任ある説明(accountability)が求められるようになってきた.そこで効果と効率が問題となるが,我が国では特殊事情から特に質に関する関心が高まっているといえよう.即ち,我が国の医療システムの中で医療の質を保証する仕組みが未発達であること,また医療の多くが民間によって提供されているが,それらの施設の医療責任と経営責任が分離していないという事情である.
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