提言
いざ学校へ OTは学習の周辺領域をガッチリ!
笹田 哲
1
Satoshi Sasada
1
1神奈川県立保健福祉大学
pp.906-907
発行日 2014年8月15日
Published Date 2014/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001100611
- 有料閲覧
- 文献概要
特殊学級時代の体験
私が初めて小中学校を訪問し,広汎性発達障害(自閉スペクトラム症)の子どもたちとかかわったのは,今から20年前のことである.当時は特殊教育の全盛期で,特殊学級と呼んでいた時代であった.「小学校に訪問しても診療点数にならないし,学校に訪問しても意味がないのでは」と悲観的な発言や皮肉を言われたこともあった.それが2006年(平成18年)の特別支援教育への大転換を迎え,そして日本作業療法士協会の専門作業療法士(特別支援教育)の制度化,作業療法5カ年戦略(5・5計画)での特別支援教育の推進をはじめ,脚光を浴びる時代が到来するとは想像もつかなかった.
授業を観察すると,椅子に座れず,すぐ崩れる子,姿勢がグニャグニャになる子,気になる鉛筆の持ち方をする子,平坦な場所にもかかわらず,よく転び顔に傷をつくる子……等,さまざまである.また体育の授業では,いくらやってもできない子どもを見かける.跳び箱を跳び越えられず台に座る,縄跳びするが縄が足にひっかかる,ドッジボールでボールが捕れない,運動会で踊るが皆から遅れると気になる運動・行動をする子どもたちがいる.当初は校長らに作業療法の説明をしても,なかなか理解してもらえなかった.「作業療法は機能訓練でしょ.脳性麻痺ならわかるけど,広汎性発達障害にOTは何をするのか?」と質問されても,未熟な伝え方で十分に説得できず,もどかしい思いをしたり,くじけそうなことが多々あった.
Copyright © 2014, MIWA-SHOTEN Ltd., All rights reserved.