増刊号 脳卒中の作業療法―支援技術から他職種連携・制度の利用まで
第3章 支援技術Ⅱ 急性期から回復期の個別性を重視した介入(事例報告)
4 脳卒中の最新リハ ②脳卒中後上肢麻痺に対するA型ボツリヌス毒素投与と低頻度経頭蓋磁気刺激
小澤 弘幸
1
,
佐瀬 洋輔
1
,
吉澤 いづみ
1
,
安保 雅博
2
Hiroyuki Ozawa
1
,
Yosuke Sase
1
,
Izumi Yoshizawa
1
,
Masahiro Abo
2
1東京慈恵会医科大学附属病院リハビリテーション科
2東京慈恵会医科大学リハビリテーション医学講座
pp.696-702
発行日 2014年6月20日
Published Date 2014/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001100562
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はじめに
脳卒中後に生じる後遺症には運動麻痺や痙縮等が存在し,これらはリハの進行を阻害する要因となるが,近年のリハ治療の発展により,脳卒中患者に対するさまざまな治療法が散見されるようになった.
脳卒中後運動麻痺に対する治療的介入として,大脳皮質を非侵襲的かつ無痛性に刺激し,大脳の可塑的変化を導き出すとされている反復性経頭蓋磁気刺激(repetitive transcranial magnetic stimulation:rTMS)が注目されており,meta-analysisによる研究でrTMSは脳卒中後の患者の回復を向上させ得ると報告されている1).また,痙縮に対する治療法には,「脳卒中治療ガイドライン2009」では受動的機能に対して推奨グレードAとされたA型ボツリヌス毒素(botulinum toxin type:BoNT-A)が,2010年(平成22年)に上肢・下肢痙縮に対して保険収載され,本邦においても広く活用されている2).
これに対し当科(東京慈恵会医科大学附属病院リハビリテーション科)では,脳卒中後上肢麻痺や痙縮に対する治療法として,rTMSやBoNT-A投与と当科で考案した作業療法の併用療法を実施しており,その有用性を報告してきた3~8).本稿では,rTMSやBoNT-A投与を解説し,本治療への作業療法の視点やかかわりを紹介する.
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