増刊号 脳卒中の作業療法 最前線
第3章 支援技術Ⅱ 急性期から回復期の個別性を重視した介入(事例報告)
4 —上肢機能へのアプローチ②ボトックス治療と低頻度経頭蓋磁気刺激—「反復性経頭蓋磁気刺激治療と集中的リハビリテーション治療の併用—NEURO®」と「ボツリヌス療法」における作業療法—これまでの到達点とこれから目指すビジョン
田口 健介
1
,
石川 篤
2
,
安保 雅博
3
Kensuke Taguchi
1
,
Atsushi Ishikawa
2
,
Masahiro Abo
3
1東京慈恵会医科大学附属柏病院
2東京慈恵会医科大学附属病院
3東京慈恵会医科大学
pp.873-877
発行日 2021年7月20日
Published Date 2021/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001202627
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緒言
脳卒中後上肢麻痺は患者を特に悩ませる後遺症の一つであり1),過去には「軽度麻痺は約6週間,中等度・重度麻痺は約12週間で改善がプラトーとなる」という機能予後の研究2)が上肢麻痺治療発展の妨げとなった.しかし,安保を中心とした東京慈恵会医科大学リハビリテーション医学講座研究グループは,治療学としての脳卒中リハビリテーション確立を目指し,軽度・中等度麻痺患者に対して反復性経頭蓋磁気刺激(repetitive Transcranial Magnetic Stimulation:rTMS)と作業療法の併用療法プロトコールであるNEURO®(NovEl Intervention Using Repetitive TMS and Intensive Occupational Therapy/One-to-on training)を考案し,その有用性を報告した3,4).さらに重度麻痺患者に対しては,国内で初めてボツリヌス毒素製剤(botulinum toxin type A:BoNT-A)投与によるボツリヌス療法と作業療法の併用治療の有効性を報告した5).本稿ではNEURO®とボツリヌス療法における作業療法の到達点と,これから目指すビジョンについて解説する.
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