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Key Questions
Q1:認知症における認知機能障害とは?
Q2:BPSDとは?
Q3:入院中の認知症患者に対するOTの役割は?
はじめに
認知症患者の治療としてアルツハイマー病に対する抗認知症薬による薬物治療があるが,根治は不可能であり,一定期間の進行抑制に限られるのが現状である.また,認知症においてはBPSD(behavioral and psychological symptoms of dementia)も大きな問題とされるが,BPSDに対する薬物療法の効果はやはり限られ,対症療法の域を出ない.このように認知症の中核症状・BPSDに対しては薬物治療のみでは不十分であり,非薬物的アプローチが重要となるが,家族・介護者による日常的な介護・ケアのほかに作業療法が大きな役割を担う.
認知症患者が入院をせざるを得ない場合は,①肺炎等の身体疾患治療,②骨折や脳血管障害後のリハビリテーション,③BPSDの治療,④在宅介護が困難となった場合の社会的入院が挙げられる.それぞれの場合において,身体疾患治療や理学療法,向精神薬による薬物治療等が行われるが,すべての場合において作業療法が重要であると考える.
認知症とは,進行性の認知機能の低下とともに生活動作の自立度が低下する状態であるが,入院を機に症状が進行することが多く認められる.入院という,生活とかけ離れた環境において,認知症患者の生活機能は低下するリスクが高く,そのリスクを最小限とするためには入院中の作業療法的アプローチが重要であり,その充実が期待される.
認知症患者の生活を支えるためには,まず認知症についての理解が重要であり,さらに対象者本人の理解が不可欠である.本稿では,認知症の基礎知識の確認と認知機能障害と患者の心理状態に配慮したアプローチについて述べる.
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