提言
作業療法っていいな
竹原 敦
1
Shun Takehara
1
1学校法人 湘南ふれあい学園 大学設立準備室
pp.446-447
発行日 2014年6月15日
Published Date 2014/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001100502
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地域在住の90代のAさんがとらえた作業療法
大学勤務中に,90代の,地域に在住する老人クラブ会長Aさんと長くお付き合いをさせていただく機会を得た.きっかけは,学生の卒論データの収集への協力をお願いしたことだった.Aさんはアンケート調査の質問紙を一緒に吟味し,丁寧に意見を述べてくれた.「この書き方はお年寄りにはわかりにくい」,「文字をもっと大きくして,研究の目的をわかりやすく書かないと,地域のお年寄りの中には回答してくれない方もいるから注意して」と言いながら,単にデータ提供の窓口としてではなく,共同研究者さながらの対応をしてくれた.
これを機会に,Aさんは何度も大学に足を運び,卒論以外の学生とも交流しながら,今後の人生と生きることの意味を私たちに語り続けた.ある日Aさんは,「先生と今度会うのは来週の水曜日でいいですか? ちょうどその日は,老人クラブの会議が終わってからなので,午後3時ころだといいのだけれど」と手帳を見ながら私に提案した.Aさんが見せてくれた手帳には数カ月先の予定がびっしりと書き込まれていた.
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