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今年の冬は厳しく,なかなか春がこない長い冬でした.しかし,この原稿の締め切りをすっかり過ぎた3月末には,やっと春を感じさせる気候になり,桜の開花宣言がちらほら聞こえてきました.実はわが家では毎年この時期に大きなイベントがあります.それは末子の誕生日です.長女,長男はそれぞれ独立し,次女は遠方の大学に通い,この1年は三女である末子と2人の生活が主でしたが,つい先日の彼女の誕生日には皆帰ってきて,16回目の誕生日を祝いました.実は私も子どもたちも彼女に対する想いには特別なものがあります.それは,連載第1回目でも書かせていただいたように彼女こそが私を,発達障害をもつ子どもたちへの支援者への一歩を踏み出させてくれた張本人だからです.
私は保護者の方々にお話しさせていただくとき,「私もお母様方と同じ立場です.母当事者です」と申し上げるのですが,発達障害がある子どもをもつことのつらさや苦しみは,当事者だからこそわかるものがあります.発達がでこぼこすぎて,何ができて,できないのかつかめず感情的に叱咤したり,いじめに遭い,不登校気味になった彼女に,母親としてどうしたらいいのか,先が見えず長いトンネルに入ったように感じた日々もありました.でも,「やらかす」彼女の言動に大笑いした日もたくさんあります.「大学まで行かせよう.仕事に就けるようにしよう.多少誰かの手を借りてもなるべく1人で生きていけるようにしよう」.彼女を理解する,家族皆で育てる! いつしかわが家にはそんなミッションが掲げられていました.そこで今回はOTの目線ではなく,発達障害児の「母」の目線で気づき,母として生活の中で行ってきた子育て(アプローチ?)について,いくつかお話ししたいと思います.というわけで,覗いてみたい!?OTの頭の中……ではなくて,覗いてみて!「母」の頭の中!
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