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書評 ―山下 瞳,下村泰斗,寺尾 岳(著)―精神科作業療法 研究のイロハ―エビデンスを探し 読みこなし 臨床研究に役立てるために
中山 広宣
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1九州医療スポーツ専門学校
pp.1284
発行日 2013年10月15日
Published Date 2013/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001100307
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精神科作業療法の分野では,歴史的に力動精神医学的理解とリハビリテーション(全人間的復権)の理念を基盤に,個人の生活を視点にした支援が中心であった.そのため,効果を科学的方法論で検証することの必要性は認識していたが,個別性の重視と客観的なデータで可視化することの難しさから科学的検証を怠っていた.しかし,今に至っては,脳科学,認知心理学,神経生理学等の発展により可視化できなかったことが可視化できるようになり,加えて,作業療法学の教育と研究の環境が整備されたことにより科学的根拠に基づいた作業療法(EBOT)が実践されてきている.一方,臨床現場ではEBOTの重要性を認識していても,その積み重ねは途についたばかりの印象がある.それは,自分が経験的に実感する効果をどのようにして検証すればいいのか,または,疑問に思っていることをどのような方法で検証できるのかという研究方法を知らないことが原因であろう.
本書は,平易な言葉で,短文で,具体的に解説されているため,非常に理解しやすくとどまることなく読め,これから研究を始めようとする臨床家の1歩を踏み出させてくれる入門書となる.
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