講座 研究論文の読み方・第2回
レビュー論文の読み方
村田 和香
1
Waka Murata
1
1北海道大学大学院
pp.1028-1032
発行日 2013年8月15日
Published Date 2013/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001100248
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Key Questions
1.レビュー論文とは何か?
2.よいレビュー論文の選び方は?
3.事例報告にレビュー論文をどのように活用するのか?
魅力的な実践のために研究論文を読む
作業療法の実践は,障害や病気のためにこれまでと同じように作業に従事することに問題のある人を対象とする.そのため,クライエントの背景を理解したうえでの実践が求められ,複雑で多義性をもつものとなる.熟練したOTは,常に意味深いクライエントのストーリーの中に身を置くこととなり,実践の意味と重要性について,最新の臨床的かつ人間的な把握を求められる.加えて,現実の実践場面でのあらゆる複雑な問題を取り上げながら,「行動しつつ考えること」と「先を推測すること」を意識する.したがって,熟練者に重視される暗黙知を含めた,高度で卓越した認知的心理的過程があり,この思考過程がクリニカル・リーズニングである.作業療法のリーズニングは,ある1人のクライエントに,あるとき,ある状況で,ある行動を目指すに至る思考,判断過程であり,文脈依存性を説明するものである.魅力的な実践のためには,クリニカル・リーズニング・スキルの向上が必要であり,そのためには,知識が不可欠となる.決して経験だけで身につくものではない1)(表1).
最新の知識を得るためには,研修会や講習会で学ぶことも必要であろうが,文献を読むことが手っ取り早く知識の補充につながる.学生とは異なり,社会に出ると時間は思った以上に限られてくる.そのため,効率よく研究論文を読むことが必要である.
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