連載 あなたにもできる調査研究—事例をもとに・2
論文の読み方と書き方
中西 範幸
1
1大阪大学大学院医学系研究科社会環境医学
pp.339-342
発行日 2000年5月15日
Published Date 2000/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401902297
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公衆衛生の実践の場で活躍されている公衆衛生専門家の中には,現場で発生し,気づかれる事例や事象を調査研究し,その結果を多くの人々に伝達してみたいと考えておられる人は少なくはないであろう.自らが行った調査研究により問題の機序が解明され,新たな知見に基づく対応策により保健医療福祉の充実が達成できれば,公衆衛生専門家としてこの上もない幸福感を味わうことができよう.しかし,公衆衛生活動の現場に従事する専門家から生の体験や考えが,論文としてまとめられ,広く伝達される機会は必ずしも多くはないと考える.
公衆衛生専門家の多くの方々が参加される日本公衆衛生学会を例としてみると,日本公衆衛生学会総会では毎年1,300編を超える研究報告が行われている.この中にはすぐれた研究が数多くみられるにもかかわらず,日本公衆衛生雑誌に投稿されるのはわずか1割に過ぎない.他の雑誌に投稿し,掲載される論文も少なくはないとしても,多くの貴重な調査研究が文献情報としてデータベース化され,公開されることなく消え去っているのも事実であろう.
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