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特集Ⅱ 自閉症スペクトラムの感覚・運動・行為の障害
自閉症スペクトラム障害の運動・行為の障害
Motor difficulties and dyspraxia in individuals with autism spectrum disorders
加藤 寿宏
1
Toshihiro Kato
1
1京都大学大学院
pp.1002-1006
発行日 2013年8月15日
Published Date 2013/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001100242
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Key Questions
Q1:運動・行為の障害とは?
Q2:自閉症スペクトラム障害の運動・行為の障害とは?
Q3:自閉症スペクトラム障害に作業療法が運動・行為を支援する意味は?
作業療法の対象としての自閉症スペクトラム障害
2010年(平成22年)の『作業療法白書』1)によると,発達領域に携わるOTの約80%が特異的な学習障害と広汎性発達障害註)(pervasive developmental disorders:PDD)を対象としている.疾患障害別ではないが,発達領域の作業療法の目的は,運動機能の改善81.3%,感覚知覚機能の改善60.4%,コミュニケーション・対人技能の改善60.4%となっている.脳性麻痺に対し運動機能の改善を目的とした作業療法は障害特性と一致しており理解できる.しかし,臨床現場では運動障害を中核障害としていない自閉症スペクトラム障害(autism spectrum disorders:ASD)に対しても,運動機能の改善を目的とした作業療法が多く行われている.
ASDは,①文脈に応じた社会的コミュニケーションおよび社会的相互関係の障害,②行動,興味または活動の限定された反復的な様式,の2つにより特徴づけられる発達の障害である(DSM-5).ICD-10においてはアスペルガー症候群(障害)は不器用さがあることが記載されているがASDの中核障害ではない.ASDの中核障害ではない運動や行為の障害にOTが支援をする意味はあるのであろうか.本稿ではASDにおける運動・行為の障害の特徴と,作業療法が運動・行為を支援する意味について考えてみたい.
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