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特集Ⅰ 作業療法と脳科学Part 2―①身体障害領域
―求心性神経系①―視覚機能とリハビリテーション―眼球運動システムからみた半側空間無視
Afferent nervous system. 1:Visual function and rehabilitation: unilateral spatial neglect and the oculomotor system
角 友起
1
,
岩本 義輝
2
Yuki Kaku
1
,
Yoshiki Iwamoto
2
1植草学園大学保健医療学部
2医療法人清風会介護老人保健施設寿桂苑
pp.502-506
発行日 2013年6月15日
Published Date 2013/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001100137
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Key Questions
Q1:在宅生活支援で考慮すべき点は何か?
Q2:在宅生活のリスクは何か?
Q3:OTの果たす役割は何か?
はじめに
われわれが日常何気なく行っているスムーズで正確な運動の背景には,脳による精緻なコントロールが働いている.目の前にあるカップに手を伸ばすといったごく単純にみえる運動の場合でも,脳はかなりの情報処理を行っている.まず視覚情報をもとにカップの位置を計算し,次に手をどの方向にどれだけの距離動かすかを指定する運動信号をつくり出し,この信号に基づいて複数の筋を協調的に収縮・弛緩させることで実際に運動を遂行する.
日常動作の中には,視覚目標に手や指先を到達させる運動が多い.起立,歩行等においてもしばしば視覚情報が運動をガイドする.感覚が運動を離れて意味をもたないのと同様に,意味のある運動は感覚との相互作用なしにはあり得ない.視覚情報は,運動開始に先立ち目標の位置を正しく把握するために必須であるだけでなく,視覚フィードバックによる運動の軌道修正や運動エラー情報に基づく運動学習においても鍵となる.
本稿前半では,視覚情報の受容と伝達の面から,網膜の構造的・機能的特徴,大脳皮質への伝達経路,皮質視覚野における外界の再現様式を概観したうえで,中心窩と視線移動および注意の移動について考えてみたい.後半ではリハの現場で遭遇することの多い半側空間無視を取り上げる.注意の障害として半側空間無視をとらえ,視線移動発現系と注意の関係を考察する.最後に,眼球運動システムから半側空間無視の神経病態生理について説明を試みる.
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