Japanese
English
特集Ⅰ 作業療法と脳科学Part 2―①身体障害領域
歩行運動と姿勢制御
Neural control of locomotion and posture
松山 清治
1,3
,
佐々木 健史
2,3
Kiyoji Matsuyama
1,3
,
Takeshi Sasaki
2,3
1札幌医科大学保健医療学部 作業療法学第二講座
2札幌医科大学保健医療学部 理学療法学第一講座
3札幌医科大学大学院保健医療学研究科 理学療法学・作業療法学専攻 神経・精神機能学分野
pp.497-501
発行日 2013年6月15日
Published Date 2013/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001100136
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Key Questions
Q1:歩行はどのように発現するか?
Q2:姿勢はどのように制御されるか?
Q3:歩行運動と姿勢制御の関わりとは?
はじめに
歩行運動は,動物の基本運動の一つであり,四肢・体幹の屈伸運動や左右肢または前後肢の交互運動等が組み合わさった全身広範囲に及ぶ協調運動である.定常歩行時には定型的なパターン運動を周期的に繰り返す自動リズム運動としての性質を示し,歩行開始・停止,方向転換,障害物回避等の際には随意運動としての性質も示す.一方,姿勢とは,一般的に頭部,体幹,四肢等の身体の相対的位置を指し,姿勢制御とは空間内で身体位置を制御するために姿勢を定位かつ安定させることを意味する.姿勢制御の基本神経機構は主に下位脳の脳幹・脊髄系に存在し,体性感覚や前庭感覚情報により種々の姿勢反射が誘発される.Sherrington1)は“Posture accompanies movement like a shadow.”(姿勢は運動に影のようにつきまとう)と述べたが,これは姿勢制御が身体の静的状態だけでなく,運動中等,身体の動的状態においても行われることを意味する.当然ながら歩行運動も例外ではなく,姿勢制御は定常歩行の自動リズム運動の最中だけでなく,歩行の随意的制御の局面にも働いている.本稿では,歩行運動と姿勢制御のそれぞれの神経機構の概要について解説するとともに,両者の関わりについても言及したい.
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