連載 World Report on Disability 2011を読む・最終回
リハビリテーションをめぐって
江藤 文夫
1
Fumio ETO
1
1国立障害者リハビリテーションセンター
pp.239-244
発行日 2013年3月15日
Published Date 2013/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001100065
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はじめに
障害に関する世界報告書(World Report on Disability 2011)は当初,「障害とリハビリテーションに関する世界報告書」の表題で制作が開始された.2008年(平成20年)の春に,WHOの6地域から関係する専門家を集めて,4カ所で開催された草稿第1版の検討会を経て,草稿は改訂され,さらに世界中の関係者へ意見出しと,より多くのエビデンス(灰色と表現されるものを含めて)の提出が求められた.この草稿第1版は3部構成であったが,改訂に伴い内容も変化し,完成版では通しの章立てとなった.
この報告書の意図の一つはエビデンスを強調することである.しかし,当事者やその支援団体によっては,保健医療の伝統的パターナリズムに対する不快な体験に由来すると思われる敵対感情を持続し,医療で強調される「エビデンス」という表現に反対する意見もあった.さらに,リハビリテーションに関してはセラピーとして取り上げられ,医療サービスとして,機能回復治療のイメージが定着しつつあるように感じる.国際的な医学団体(International Society of Physical and Rehabilitation Medicine)の機関誌は,世界報告書の刊行と提言により,この医学領域活躍の好機到来ととらえている1).しかしながら結語には同意できるが,当事者中心に対応すべきであり,あらためて世界報告書における「リハビリテーション」について考えてみたい.
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