特集 癌治療のプロトコール—当施設はこうしている
Ⅰ.食道癌治療のプロトコール
慶應義塾大学医学部・外科
北川 雄光
1
,
安藤 暢敏
1
,
小澤 壯治
1
,
北島 政樹
1
Yuko KITAGAWA
1
1慶應義塾大学医学部外科
pp.35-41
発行日 2000年10月30日
Published Date 2000/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407904249
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術前診療のプロトコール
1.術前の評価
①進行度評価
上部消化管造影,内視鏡検査,超音波内視鏡,胸部(頸部上縦隔を含む)・腹部造影CT,腹部超音波検査にて主病変の深達度とリンパ節転移状況を把握する.骨シンチやMRI,気管支鏡,血管造影などは必要と判断した場合のみに行う.
術前の深達度診断はとくに表在癌において重要である.深達度m1, m2と診断された場合には内視鏡的粘膜切除(EMR)の適応となるため,内視鏡検査に加えて20MHzの細径プローブによる超音波内視鏡検査を併用している.遠隔臓器,リンパ節転移ともに胸・腹部CT所見を重要視している.リンパ節転移診断においては7.5MHzの超音波内視鏡を併用しているが,画像診断だけでは微小転移の検出は不可能であることを念頭におかねばならない.他臓器浸潤の診断にもCT,超音波内視鏡が有用である.胸部上部進行食道癌では気管支鏡を施行し,その所見も参考にしている.気道系,大血管への直接浸潤例(T4)は根治切除の対象とせず,その疑いがあれば術前治療の適応としている.
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