Japanese
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特集 これを読めばPETがわかる
甲状腺・副甲状腺におけるPET
PET for thyroid and parathyroid glands
家根 旦有
1
Katsunari Yane
1
1近畿大学医学部奈良病院耳鼻咽喉科
pp.747-752
発行日 2011年9月20日
Published Date 2011/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411101957
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Ⅰ.はじめに
甲状腺疾患におけるPET検査は,実際の臨床ではそれほど重要視されていないのが現状ではないだろうか。その理由としてFDG-PETは良性疾患でも陽性となることが多く,甲状腺腫瘍の良性・悪性の鑑別にはそれほど有用ではないと評価されているからである。甲状腺腫瘍の鑑別診断には超音波検査が優れており,超音波ガイド下に細胞診を行うことによって正診率も高い。一般臨床の甲状腺検査には超音波検査と細胞診の組み合わせが最も簡便で検出感度も優れていることから第一選択として広く用いられている。
それでは甲状腺疾患におけるPET検査の意義とはどういうものであろうか。現在のところPET検査の意義としては,甲状腺全摘後に血清サイログロブリン(Tg)値が高値で,I-131シンチグラムでは陰性の場合に有用であると考えられている。甲状腺に選択的な検査であるI-131シンチグラムはたとえ転移があったとしても集積がみられない症例も多く,特に高齢者で分化度の低い甲状腺癌でのI-131の取り込みは少なく,再発・転移の検査方法としては十分とはいえない。I-131シンチグラムを補う検査方法としてPET検査は評価されているが,具体的にはどのような症例に,どのようなタイミングで検査すればよいのかについて明らかな指針は示されていない。
本稿では甲状腺・副甲状腺におけるPET検査の有用性や意義について考えてみたい。
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