別冊秋号 透析と麻酔
PART2 透析患者の麻酔管理
13 術中管理—免疫,感染に関する事項
原 鉄人
1
1自治医科大学 麻酔科学・集中治療医学講座
pp.101-106
発行日 2023年9月20日
Published Date 2023/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3104200363
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透析患者の死亡原因の上位は心臓イベント25.9%,感染症22.0%,悪性腫瘍8.4%である(2021年)1)。感染症は予後決定因子の一つだが,心臓イベントに比べて麻酔管理に直接影響することは少なく,通常対応としている場合が多いのではないだろうか。麻酔科医には長年,感染に疎いとみなされてきた過去がある。「手指衛生徹底率が全医師中最低レベル」,「抗菌薬を中身も知らずつなぐだけ」といったところだ。
本稿では,感染高リスクの透析患者に適切な感染対策を講じるために,透析(腎機能低下)の免疫機構への影響と一般的な対策をまとめ,術中管理への応用を考察する。「新たな感染症を起こさないこと」と「感染症による臓器障害を悪化させないこと」を目標とする。透析患者で心臓イベントなく終了した悪性腫瘍手術の予後を周術期の感染で悪化させることがないようにしたい。
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