別冊春号 2020のシェヘラザードたち
第20夜 人生最大のピンチ!? 小児大出血への対応—低体重児の内頸静脈穿刺時に起きたショック状態
竹内 護
1
1自治医科大学 麻酔科学・集中治療医学
pp.123-126
発行日 2020年4月10日
Published Date 2020/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3104200135
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1985年,私は岡山大学医学部附属病院麻酔科に入局した。この年の同期入局は18人。国家試験は4月上旬,発表は5月下旬だったので,本格的な研修は6月からであった。のんびりした時代で,夏休みは3週間あった。9月から高知市の関連病院に転勤したが,1週間で急性肝炎(後にC型と判明)になって岡山に戻ることになった。麻酔科に入院当日はビリルビン値が13mg/dLまで上昇し,同級生は血漿交換の練習ができると喜んでいた。3か月間入院し,その後3か月間自宅療養。最終的には2年目に復職したが,内科主治医に「吸入麻酔薬は肝臓に悪いから全身麻酔は避けなさい」と言われ,大学病院で毎日脊髄くも膜下麻酔ばかりをしていた。
この頃,県赤十字血液センターへの就職の話があった。当時の私は病後の体力には自信もなく,同級生からは大きく水をあけられていた状況だったので,就職をほぼ決めていた。しかし,副センター長に「一生,献血業務だけでは面白くないでしょうから,ぜひ研究もやってください」と言われ,この言葉で就職を断念した。その頃の私は,研究にはまったく考えが及んでいなかったからである。
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