別冊春号 2020のシェヘラザードたち
第13夜 臨床と研究の狭間で…—若いときの苦労が今の支え
小田 裕
1
1大阪市立十三市民病院 麻酔科
pp.77-81
発行日 2020年4月10日
Published Date 2020/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3104200128
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学生時代の6年間,音楽・語学・スポーツに明け暮れて楽しく過ごし,気がつけば半年後に卒業を控えていた。臨床研修制度はまだなく「卒業すればすぐに入局」で,専門科目を決めるまでに時間的猶予はなかった。結果的に,「早く常勤のポストを得る」ことが最重要課題となった。そして「これから医者の仕事は一般化するのか,専門化するのか?」をふと考えた時,麻酔科を選ぶことに躊躇はなかった。医者としての第一歩は出身大学の病院でスタートした。また「取れるものはさっさと取ろう」ともくろんだ私は,卒業後すぐに大学院に入学した。専門医よりも「まずは学位」の時代であった。ここから局所麻酔薬との長い付き合いが始まった。大学での生活が長く,最近までトップとして麻酔科を運営することはなかったため,「これ」といった体験には乏しいが,心の中,そして日々の生活の中には常に臨床と学究的活動が共存した。卒業から40年近く経つ現在も変化はなく,後者が私の考え方や行動に重要な影響を与えていることに今更ながら驚いている。
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