特集 眼科専門医に必要な「全身疾患と眼」のすべて
6.循環器疾患
高血圧症,動脈硬化
鈴間 潔
1
1静岡県立総合病院眼科
pp.105-109
発行日 2007年10月30日
Published Date 2007/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410102006
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高血圧と細動脈硬化
持続する高血圧は細動脈硬化から脳梗塞,心筋梗塞などを引き起こす。眼科的には高血圧網膜症,網膜静脈閉塞症,網膜動脈閉塞症などのリスクを高め,視力障害の原因となる病態である。全身血圧を正確に評価するためには,患者に対してストレスのかからない状態(安静,座位,排尿後,快適な室温)で血圧測定を繰り返す。数週間以上の観察期間中に2回以上の異常値が記録されたら高血圧症と診断する(表1)。この分類は降圧薬服用者や急性疾患患者を除くものである。収縮期と拡張期が別の重症度にランクされる場合には,より高いほうのランクに分類する。
本態性高血圧の原因を単一因子に求めることは不可能であるが,そのメカニズムはかなりわかってきている。全身の血圧は心臓のポンプ作用(心拍出量)と動脈のトーヌス(末梢血管抵抗)によって決まる。心拍出量も末梢血管抵抗もそれぞれ多数のフィードバックループをもつ数多くの因子によって調節されていることが,最近の研究によって明らかとなってきている(図1)。
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