Japanese
English
神経眼科アトラス3
網膜の高血圧・動脈硬化症
Hypertonus of Retinal Arteriole and Retinal Arteriolosclerosis
福田 雅俊
1
Masatoshi Fukuda
1
1東京大学医学部附属病院分院眼科
1Department of Ophthalmology, Branch Hospital, University of Tokyo
pp.755-758
発行日 1971年7月1日
Published Date 1971/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406202926
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神経眼科として先ず注目する眼底所見は,乳頭の変化であるが,高血圧性の眼底病変としても,その極期には乳頭浮腫が出現することは,すでに衆知の事実であり,この所見があれば,Keith-Wagener分類IV群,Scheie分類,高血圧性病変4度と判定される。
この乳頭浮腫の発生機序も,現在それほど明確に解明されているわけではない。正常な乳頭は黄紅色を呈しているが,これは主として,強膜中で乳頭を取り巻いて存在するチン・ハーラー氏動脈輪Circulus arteriosus ner—vi optici (Zinn-Haller)から強膜篩状野Area cribrifor—mis scleraeを形成する結合組織線維柱に沿つて分枝して走る血管枝中の血液に由来するものである。乳頭浮腫もこの毛細血管系の循環障害によつて生じた血管の拡張と血管壁透過性の亢進とによる浮腫性腫脹であることは間違いなく,これに連らなる短後毛様体動脈,眼動脈,後毛様体静脈,或いは脈絡膜血管系などの脈管系の循環障害,それに由来する相互間の血管内圧のバランスの乱れなどが原因となつているものと考えられる。
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