別冊秋号 疼痛と鎮痛
Part Ⅲ 病態へのアプローチ:術後痛を中心に
10 術後痛へのCGRPの関与
石田 高志
1
,
石田 公美子
1
,
川真田 樹人
1
1信州大学医学部 麻酔蘇生学教室
pp.85-90
発行日 2018年9月20日
Published Date 2018/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3104200036
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■臨床の視点
▲CGRPは術後痛にどのように関与しているか?
カルシトニン遺伝子関連ペプチド(calcitonin gene-related peptide:CGRP)は主に知覚神経終末に分布し,神経障害や炎症が起きたり痛み刺激が知覚神経に入力されると神経終末から放出される1)。CGRP自体は痛みを惹起しないが,神経障害性疼痛や炎症性疼痛で起こる一次知覚神経や脊髄での痛みの感受性の亢進(末梢性・中枢性感作)に関与して痛みを増強していると考えられている1〜3)。
術後痛は炎症性疼痛,侵害受容性疼痛,神経障害性疼痛の要素をもつことが知られているが,その機序は複雑で,いまだ全貌は明らかとなっていない。そして,CGRPが術後痛に関与するかどうかは明らかではなかった。
そこでαCGRP遺伝子欠損(αCGRP KO)マウスを用いて足底切開モデルを作製し,CGRPが術後痛の強さにどの程度関与するかを調べた4)。
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