特集 ホルモンと生理活性物質
各論
5.副甲状腺ホルモン・骨代謝ホルモン系
4) CGRP
高見 博
1
Hiroshi TAKAMI
1
1帝京大学医学部第1外科
pp.116-117
発行日 1994年10月30日
Published Date 1994/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542902192
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生合成・分泌・機能
1.生合成
カルシトニン遺伝子関連ペプチド(calcitonin gene-related peptide; CGRP)は分子遺伝子学の技術によって発見された最初の生物学的活性のあるペプチドの1つであり,カルシトニンと同一の遺伝子から発現され,37個のアミノ酸から成っている(図1)1).
カルシトニン遺伝子はRNAへの転写後,その形質発現上2種のmRNAを産生し,臓器特異的に甲状腺C細胞ではカルシトニンmRNAを,脳・中枢神経系ではCGRPmRNAを派生し,それぞれカルシトニンとCGRPの前駆体蛋白を産生する.CGRPはラット甲状腺髄様癌の継代移植中にカルシトニンとは異なる別のmRNAが発見され,このmRNAの情報に基づいて,分子遺伝子学の技術により合成されたペプチドである.したがって,生物活性を指標として抽出・構造決定されたほかの多くのペプチドとは逆の研究経緯をたどっている.
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