特集 透析診療のすべて
Part 3 透析診療におけるトラブルシューティングと合併症管理
19.透析患者と心脳血管疾患④脳血管障害—急性期には頭蓋内圧上昇による脳血流への影響を受けやすい
木野 智幸
1
Tomoyuki KINO
1
1東京ベイ・浦安市川医療センター 脳神経外科
pp.493-498
発行日 2024年1月1日
Published Date 2024/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3103901158
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慢性腎臓病(CKD)は近年,コホート研究や疫学データベースなどから,全身の多くの疾患におけるリスク因子であると認識されるようになった。脳血管障害においてCKDは独立したリスク因子であることが示され,脳腎連関(臨床メモ)が機序として提唱されている1,2)。特に血液透析(HD)患者では脳血管障害をきたしやすいうえに,重症化しやすい3)ことが知られているが,取り扱いに関するエビデンスが非常に少なく,臨床医にとって診療に苦慮せざるを得ない領域であることは論を俟たない。
脳血管障害はひとたび発症すると,たとえ重症でなくても,四肢の運動機能障害や嚥下機能障害,高次脳機能障害などの後遺症により,患者のQOLを大きく低下させ,誤嚥性肺炎や転倒による外傷,症候性てんかん,廃用症候群など,死亡原因に直接つながるさまざまな合併症を引き起し得るという点で重要である。
本稿では,HD患者と脳血管障害に関しての疫学,無症候患者に対するスクリーニング検査,脳血管障害発症後の薬物治療および透析管理の注意点に関して述べる。
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