特集 コマネジメント
Part 2 コマネジメントの“枝”
【コラム⑤】—コマネジメントをする内科医に知ってほしい—術後リハビリテーション—ケア移行の全体像のなかで内科医が実践できるポイント
木村 泰
1
Toru KIMURA
1
1練馬光が丘病院 医療技術部 リハビリテーション室
pp.182-190
発行日 2023年9月1日
Published Date 2023/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3103901114
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大腿骨近位部骨折で入院し,手術は無事に成功したが,「せん妄や誤嚥性肺炎を併発した」「認知症,慢性呼吸器疾患,Parkinson病などの併存症を有しており,リハビリテーションが思うように進まない」「退院後の自己管理が難しく併存疾患の悪化が懸念される」,我々リハビリテーション療法士は,このような診療上の問題や臨床的有害事象によく遭遇することがある。このような場合,主治医やリハビリテーション科医に報告し,さらに専門科へのコンサルテーションが行われ,追加の検査や治療,処置が施行されるのを待つことがある。コマネジメントを行う内科医やホスピタリストが,適時にこのような問題に対処していくことは,リハビリテーション療法士にとっても心強く,患者の機能的転帰にもかかわると考えられる。
また,高齢の大腿骨近位部骨折患者の転倒の背景には,老年症候群や他の併存疾患が影響していることもあり,受傷前の身体機能レベルを再獲得するには,高度な退院計画と長期的なフォローアップが必要になる。患者の旅路(Patient Journey)を考え,今現在の問題だけではなく,上流や下流にある問題に対しても目を向け,多職種で協働しリハビリテーションを実践していくことは,患者中心の医療実践の第一歩であり,患者経験(Patient Experience)価値の向上につながると考えられる。
本稿では,リハビリテーション療法士の視点から,コマネジメントを行う内科医に知っておいてほしいリハビリテーションの知識について,近年コマネジメントの有益性が報告されている,大腿骨近位部骨折の領域を中心にまとめる。
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