特集 感染症3
Part 3 微生物編
11.血液培養からグラム陽性菌,あなたならどうする—Staphylococcus aureusを中心に整理
伊藤 健太
1
Kenta ITO
1
1あいち小児保健医療総合センター 総合診療科
pp.637-644
発行日 2023年6月1日
Published Date 2023/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3103901070
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グラム陽性菌は,グラム染色でクリスタルバイオレットなどによって青〜紫色に染色される(アルコールなどで脱色されない)菌の総称である。その形から球菌(-coccus,-cocci),桿菌(-rods,bacilli)に分類され,グラム陽性球菌Gram-positive cocci(GPC),グラム陽性桿菌Gram-positive rods(GPR)と呼称される。本稿では,最も頻度が高く,臨床的意義も大きい黄色ブドウ球菌Staphylococcus aureusを想定した対応について詳細を記載し,その他の菌種については,注意すべき感染巣と患者背景,また,治療対象とすべき場合について簡便にまとめる。
なお近年は,血液培養が陽性になった時点でマルチプレックスPCR*1などの核酸増幅検査により,早期に菌名,耐性遺伝子の検出が可能になってきている。新型コロナウイルス感染症流行に伴い,これらの検査機器が広く普及している。しかし,「血液培養陽性⇒グラム染色⇒培地接種⇒コロニー発育⇒生化学的検査やパネルを用いた菌名・感受性判明」という流れが基本であることに変わりはないため,本稿ではこれらの核酸増幅検査に関しては割愛する。
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