臨床メモ
Staphylococcus aureus敗血症
北原 光夫
1,2
Mituo Kitahara
1,2
1東京都済生会中央病院・内科
2慶応義塾大学医学部・内科
pp.163
発行日 1984年1月10日
Published Date 1984/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218874
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Staphylococcus anretts(ブドウ球菌,以下S. aureus)はグラム陽性球菌で,化膿性炎症性疾患を起こす細菌としてよく知られている.最も多い疾患は皮膚の化膿性病変で,膿痂疹,癤(せつ),癰(よう,carbuncle),創傷感染症,乳房膿瘍などがみられる.また,皮膚の特異的疾患でscalded skinsyndromeと呼ばれる病変も起こす.これはexfoliatinという毒素をphage type ⅡのS. anrensが出すために起こるものである.毒素による疾患としては,他にenterotoxinによる毒素性食中毒,toxic shock syndromeを起こす毒素があげられる.
皮膚の化膿性疾患についで多いものは,S. aurezcs敗血症に起因した臓器の化膿性疾患であろう.S. aureus敗血症は近年,院内感染症の1つとして注目をあつめており,その原因は静注用カニューレを使用すること,hyperalimentationを行うことにより増加している傾向にある.また,創傷感染やSwan-Ganzカテーテルも原因となっていることは見逃せない.もちろん,院外感染症として,侵入した原因がつかめないまま,S. aureus敗血症がみつかることもある.S. aureus敗血症で最も問題となるのは,心内膜炎の発症と他の臓器への感染症の波及である.
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