特集 ホスピタリストのための画像診断—②脳脊髄編
Part 1 総論
2.頭部MRIの読影手順—その撮像法をなぜ行うのか,何を探すのか:病変の検出感度を高めるための基礎知識
中井 雄大
1
Yudai NAKAI
1
1東京大学医学部 放射線医学講座
pp.397-412
発行日 2023年2月1日
Published Date 2023/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3103901040
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MRI*1とは,核磁気共鳴現象を用いて水素原子(プロトン)から信号(電磁波)を取得し,それを画像化する方法である。CTはX線の吸収係数の違いを画像化しているため,原子番号に比例した結果が得られるが,MRIは単にプロトンの量だけを反映するわけではない。プロトンが含まれる分子の種類(水か脂肪か)や状態によって組織固有の値であるT1値とT2値が決まり,また流れや組織内での分子の拡散などによっても信号が変化する。これらをどのように取得するか(例えばT2値を強調したいのか,拡散を強調したいのかなど)によって得られる画像コントラストが異なるため,複数の撮像法が存在する。
実際の読影においては,複数の撮影で得られた画像所見を総合して診断することになる。画像のコントラストは,機械側の要因(撮影のためのパラメータや磁場強度など)でも変化するため,CTとは異なり機種間や別検査間での比較は必ずしも容易ではなく,特に施設が異なる検査との比較には注意を要する。
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