シリーズ最新医学講座・Ⅱ 臨床検査用に開発された分析法および試薬・9
酵素活性検出の高感度化(標識酵素を中心に)
芦原 義弘
1
,
笠原 靖
2,3
Yoshihiro ASHIHARA
1
,
Yasushi KASAHARA
2,3
1富士レビオ(株)・研究開発部
2昭和大学医学部臨床病理
3富士レビオ(株)
キーワード:
検出感度
,
化学発光
,
AMPPD
,
ヨクトモル
Keyword:
検出感度
,
化学発光
,
AMPPD
,
ヨクトモル
pp.1051-1058
発行日 2008年9月15日
Published Date 2008/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542101701
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はじめに
臨床検査における酵素活性測定の高感度化は,生化学検査と標識に用いる免疫測定や広義のリガンド測定で要望される.測定の高感度化は分析化学の変わらぬ課題であり,測定対象の拡大と測定精度の改善をもたらす.
生化学検査では高感度化のニーズはむしろ物質測定にある.例えば,正常値がわずか1mg/dlの血清クレアチニンでも感度を改善すれば,総コレステロールのように複雑な化学分析から簡便な酵素測定への転換が可能となる.
一方,抗原抗体反応や,ホルモン-レセプター反応を測定原理とするリガンド測定では,用いる標識酵素活性の測定感度が,ターゲット検出感度に直接反映する.汎用されている酵素免疫測定(enzyme immunoassay;EIA)では,抗原抗体反応の結合定数は1×108~9と大きいため,標識酵素の活性(シグナルの検出)測定が改善すると最終感度1)が向上する.
1959年,Dr. Yallow2)はラジオアイソトープを標識し放射線を検出する,極めて高感度の放射免疫測定法(radio immunoassay;RIA)を開発した.後にノーベル生理学・医学賞を受賞するが,本法によりバイオアッセイに依存していた種々ホルモンの定量が可能となり,内分泌学が飛躍的に発展した.当然,ラジオアイソトープに代替する非放射性の高感度測定系の開発が期待された.それがEngvall3)らによる標識に酵素を用いる酵素免疫測定法(EIA)である.本稿では標識酵素測定の高感度化と,特に検査の現場で実用に供している高感度EIAについて概説する.
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