特集 不整脈2—心室性不整脈,徐脈性不整脈
【コラム⑤】植込み型除細動器(ICD)は何をしているのか?—どのような状況でインテロゲーションが必要か理解しておく
河田 宏
1
Hiro KAWATA
1
1PeaceHealth Sacred Heart Medical Center
pp.798-808
発行日 2022年5月6日
Published Date 2022/5/6
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3103900970
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友人であり上司であったHarry Heller医師を心室頻拍(VT)で亡くしたMichel Mirowski医師は,このような悲劇が二度と起こらないようにと,突然死を防ぐ植込み式の除細動器を思いつき,12年以上の歳月をかけて植込み型除細動器(ICD*1)は開発された1)。1980年に最初のICDが人間に植え込まれるが,電極パッチの植え込みには開胸術が必要となり,デバイス自体も腹部に植え込まれ,寿命も1〜2年程度であった。それから40年以上が経過し,ICDは改良化・小型化が進み,今ではペースメーカと同じように前胸部に植え込まれているほか,静脈内および心内へのリードの植え込みを必要としない皮下植込み型除細動器(S-ICD*2)も開発されている。現在,ICDはVTや心臓突然死を引き起こす心疾患を有する患者にとって不可欠となっている。
ICDを含む植込み型心臓デバイスは進歩を続けており,もはやICDはVT・心室細動(VF)にショック療法を与えるだけのデバイスではない。徐脈に対してペーシングを行い,VTに対して抗頻拍ペーシングによる停止を試みる機能も有している。ICDは,患者に応じた細かい設定が可能な反面,その機能,プログラミングはより複雑になっている。循環器内科専門医のみならず,臨床の現場ではICD患者をみる機会のある内科医も,ICDに関する最低限の知識をもち合わせている必要がある。
本稿では,総合内科医,循環器内科専門医を対象に,ICDの適応とその機能をまとめる。
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