特集 不整脈1—上室性不整脈
【ミニコラム④】心房細動を有する血液透析患者の抗凝固療法はどうすればよいか?—実施か見送りか,その判断基準や根拠
北村 浩一
1
Koichi KITAMURA
1
1東京ベイ・浦安市川医療センター 腎臓・内分泌・糖尿病内科
pp.608-613
発行日 2022年2月24日
Published Date 2022/2/24
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3103900945
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日本透析医学会の「血液透析患者における心血管合併症の評価と治療に関するガイドライン」1)では,心房細動への抗凝固療法について,血液透析hemodialysis(HD)患者におけるワルファリン投与は原則禁忌(必要な場合はPT-INR*1<2.0に維持)とされている。「必要な場合」とは,一過性脳虚血発作(TIA*2)/脳梗塞の既往,左房内血栓の存在,人工弁置換術後,僧帽弁狭窄症合併など,いわゆる心房細動に加えて他に抗凝固療法を実施することが望ましい状況が併存しているときである(2C)1)。
一方,AHA/ACC/HRS*3 2019ガイドライン2)ではエビデンスレベルB(非無作為化試験のみが参考),推奨Ⅱbで,ワルファリンまたはアピキサバンの投与を検討してもよいかもしれない,とやや歯切れの悪い記載である。これらは発表された時期は違えども,同様に一定の見解は示されていない。本稿では,最近の研究の結果をふまえて今後の治療戦略を考える。
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