連載 とらうべ
お見送りとお出迎え
飯島 惠道
1
1東昌寺
pp.329
発行日 2006年4月1日
Published Date 2006/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100088
- 販売していません
- 文献概要
人は一生の間に,どれだけの時間を旅に費やすだろうか。最近では,旅をテーマとしたテレビ番組も多くなり,いざ出かけようと思っても,行き先をなかなか決められないことも多い。旅立ちの前には,荷物をそろえ,しっかりと戸締りをし,火の元を確認して出かける。旅先から戻ったとき,再び,今までと同じような日常生活ができるように,環境を整えて出かけるのである。
さて,私たちは,命の終焉にあたって「旅立ち」の言葉を使う。呼吸停止以降に始まる一連の儀式は,その人の人生最期の旅立ちを支える儀式である。儀式を通して,この旅は「帰れない旅」であること,だからこそ二度と戻らない「今」という刹那を大切に生きるべきであることを,縁故のあった者が,それぞれあらためて心に刻みこむ。
Copyright © 2006, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.