特集 アレルギー
【総論】
4.アレルゲン免疫療法—薬物療法とは異なり,疾患の自然経過を修飾する可能性を有する
中込 一之
1
Kazuyuki NAKAGOME
1
1埼玉医科大学呼吸器内科・アレルギーセンター
pp.27-34
発行日 2020年3月1日
Published Date 2020/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3103900749
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アレルゲン免疫療法は,アレルギー疾患における免疫学的寛解を期待できる現在唯一の治療法である。古くから皮下注射による免疫療法subcutaneous immunotherapy(SCIT)が主に施行されてきた。免疫療法には,病態の根本に存在するアレルゲン特異的Th2型免疫応答の制御を治療標的とし,疾患の自然経過を修飾する可能性を有する点で,薬物療法とは異なった意義が期待できると考えられる。
免疫療法のアレルギー治療における期待と評価は国際的には高まりつつあるが,日本ではしばらく標準化ダニアレルゲンが薬価収載されていなかったこと,本療法を施行できる施設あるいはアレルギー専門医が少ないことなどから,これまでSCITは十分に施行されてこなかった。
近年,日本でもアレルゲン免疫療法の効果や安全性を高めるアプローチが行われてきた。例えばスギおよびダニでは,アレルゲンの均質化・標準化が行われた結果,治療効果が安定した。また,安全性を高める手段として舌下免疫療法sublingual immunotherapy(SLIT)が導入された。これらを背景に,日本アレルギー学会により「スギ花粉症におけるアレルゲン免疫療法の手引き」1)「ダニアレルギーにおけるアレルゲン免疫療法の手引き」2)が,免疫療法の適正使用を目的として作成された。
本稿では,これらの手引きなどに基づき,アレルゲン免疫療法について概説する。
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