特集 糖尿病
合併症
16.⑥糖尿病における感染症—高血糖状態に伴う体内メカニズムの変化と感染症リスク
萩谷 英大
1
Hideharu HAGIYA
1
1大阪大学医学部附属病院 総合診療部/感染制御部
pp.479-489
発行日 2018年6月1日
Published Date 2018/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3103900566
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Q1 糖尿病が起こす免疫不全の機序は?
糖尿病に関連する免疫不全は,狭義には「免疫担当細胞の機能障害」を指すが,実際には細小血管症や神経障害が複合的に関連している。糖尿病患者は日常臨床で最も頻繁に遭遇する免疫不全者といっても過言ではない。敗血症患者の約20%に基礎病態として糖尿病が認められた1)という報告もある。また,2001〜2010年の10年間で,日本人の糖尿病合併死亡者45,708人を対象に実施された調査結果2)によると,悪性新生物(38.3%)に次いで死因の第2位に感染症(17.0%)が挙げられている。
このことからもわかるように,糖尿病に伴う免疫不全は糖尿病患者の予後に大きく影響するため,臨床医はその機序と高頻度な病態・治療について熟知しておく必要がある。
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