特集 老年科
【急性期各論】
10.不穏・意欲低下・不眠へのアプローチ—3つのDを軸にして考える
川嶋 修司
1
,
関口 健二
2,3
Shuji KAWASHIMA
1
,
Kenji SEKIGUCHI
2,3
1国立長寿医療研究センター 高齢者総合診療科・内分泌代謝内科
2信州大学医学部附属病院 総合診療科
3市立大町総合病院 総合診療科
pp.701-710
発行日 2017年12月1日
Published Date 2017/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3103900488
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不穏,意欲低下,不眠はいずれも日常臨床で頻繁に遭遇する訴えであり,我々医療者の悩みの種である。高齢者の場合,病態が混在していることが多く,訴えが非典型的であることも多いため,適切に対応されていないまま,ADLの低下やFTT*1の進行,入院期間の延長につながってしまっている現状がある。
これらの症状に対しては,3つのD,すなわち,せん妄(Delirium),うつ病(Depression),認知症(Dementia)を軸としたアプローチを提唱する。もちろんそれぞれは独立した病態であるが,症状が類似しており(表1),併存することも多く,またマネジメントにおいても共有する部分が多い。今まで見過ごされてきたこれらの病態に気づき,正しく鑑別診断を行うことで,より適切な対応が可能になり,高齢者のQOL最適化に役立つ。
本稿では,まず3つのDについて理解したのち,これらを疑う症状に対してどうアプローチするか,どうマネジメントするかについて解説する。
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