特集 老年科
【急性期各論】
9.ポリファーマシーへのアプローチ—入院中の薬物療法の適正化を目指して
矢吹 拓
1
Taku YABUKI
1
1国立病院機構 栃木医療センター 内科
pp.683-691
発行日 2017年12月1日
Published Date 2017/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3103900486
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ポリファーマシーは,高齢化社会を迎えた我が国のコモンプロブレムであり,今後取り組むべき大きな課題の1つである。昨今,認知度が高まってきており,ポリファーマシーは比較的新しい問題と思われがちだが,実は100年前のOsler卿*1の時代から指摘されており,具体的な取り組みは1990年代のBeers医師*2に端を発する,古くて新しい問題なのである。
ポリファーマシーの明確な定義はなく,「必要以上に多く薬剤が処方されている状態」を指すといわれているが,過去の複数の研究から,5種類をカットオフとすると,高齢者の脆弱性,機能障害,認知機能低下,転倒,死亡1)や薬剤有害事象2)が増えると報告されている。本稿では,入院患者という観点から,ポリファーマシーの概要を解説していきたい。
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