特集 老年科
【急性期各論】
【コラム2】褥瘡—予防と治療の長期的視点をもち,その最初の段階にかかわることを意識する
坂井 智達
1
,
吉田 伸
2
Tomomichi SAKAI
1
,
Shin YOSHIDA
2
1飯塚病院 総合診療科
2頴田病院
pp.674-682
発行日 2017年12月1日
Published Date 2017/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3103900485
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筆者は急性期病院で,多科・多職種が連携した褥瘡回診にチームの一員として参加している。その参加者から以前聞いた言葉として,「高齢者の褥瘡はできてしまうとまず治らない。だから予防が大切」「褥瘡の治療には強力なエビデンスはない」「正直,急性期病院でやっていて褥瘡治療の成功体験があまりない」といったものがあった。
褥瘡とは,皮膚かつ/または皮下組織の限局性損傷とされ,たいていの場合,骨突出部において圧力単独もしくは圧力とずれの両者で起こる1)と定義される。褥瘡保有者の70%は高齢者であり,褥瘡のほとんどは急性期病院で発生している。そのなかで最も褥瘡が起こりやすい状況はICU,心臓血管外科術後,整形外科的外傷後である2)。
本稿では,高齢者の褥瘡に対して,「未然に防げている」さらに「発生しても手間暇かけて治していく」イメージをもてるような情報を,エビデンスを交えながら紹介していきたい。
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