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福知山市は,人口約8万人の「地域の小都市」であり,当院は兵庫県と接する医療圏10万人の公立地域基幹病院である(感染症病棟・回復期リハビリ病棟を含めて354床)。京都府は人口当たりの医師数が多いとされるが,京都市を含む二次医療圏に偏在し,当地域を含む二次医療圏では全国平均を下回っている。したがって,関連大学の教育指定病院,京都北部の拠点的病院ではあるが,全体に医師不足,研修医は定員に満たなかった。
地域基幹病院ということもあり,急性期入院診療・救急診療を担っているが,総合内科が軌道にのる前の内科の診療科は,常勤医が複数名の科,1〜2名の科,外来のみを行う非常勤医のみの科という状況であった。臓器別専門医も専門的な領域を担うのみならず,専門外医療・救急医療,高齢者に多い複数の疾患などにも従事してきた。その結果,医師の疲弊度は強く,専門領域における検査なども必ずしも十分とはいえなかった。これは,日本の地方都市の基幹病院でよくみられる光景ではないだろうか。
当院では,こうした経緯のなか,①臓器別専門医の負担軽減,②守備範囲の広い診療,③臨床現場における教育,④地域診療所との窓口,を役割とする総合内科(病院総合内科)を2008年に新設した。それ以降,総合内科医・臓器別専門医・研修医の3者のバランス(尊重関係)を考慮した施設トップのコントロールのもと,地域医療の活性化を実践してきた。病院経営の観点では,医師数の増加(表1)*1もあり,2007年の新病院全面改築にもかかわらず2010年度には経常収支黒字化を達成した。
以下,当院での経験をふまえ,総合内科医の果たす役割について,臨床と教育の両側面から言及する。なお,当院は外科系医や小児科医,産婦人科医,整形外科医も常在しており,業務の範囲は主として“総合内科”となり,内科系のことについて議論を進める。
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