特集 地域保健医療のすすめ方
基幹病院と地域保健医療
高橋 政祺
1
Masayoshi TAKAHASHI
1
1杏林大学医学部病院管理学教室
pp.723-727
発行日 1986年11月15日
Published Date 1986/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207362
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■はじめに
地域保健医療の実態を一つの医療圏注1)として考えた場合,それは基幹病院を中心としたそれぞれの役割を分担している医療施設群のシステムとしてとらえることができる.この基幹病院に医科大学附属病院を当てるという構想は,昭和45年に新設大学が認可され,田中内閣によって一県一医大政策が押し進められてから一般化した考え方のようである.
しかしながら,わが国の医療施設は歴史的に自由開業制をとって今日に至ったもので,明治以来戦前までは,病院も私的病院が中心となって発展してきている.戦後,陸海軍病院の国立病院への改組や,国民皆保険実施による公的病院の保険診療施設としての体制の建て直しとその内容の充実,さらに一般国民の公的病院への役割期待の増強などにより,次第に医療の中心は私的病院から公的病院へと移行してきてはいる.しかしながら無計画に自然発生的に開業してきた経営主体の異なる医療機関の間には連携が生じにくいというのも現実であった.公私病院間の競合や,隣接する病院間での設備や大型医療機器の重複のむだなどが話題にはなるものの,これに対する何らの対策もなく,今日に至っている.
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