特集 腫瘍
8.合併症(オンコロジックエマージェンシーを中心に) ③腫瘍崩壊症候群—がん治療前後に注意すべき予防と管理の原則
野﨑 健司
1
Kenji NOZAKI
1
1住友病院 血液内科
pp.679-686
発行日 2016年9月1日
Published Date 2016/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3103900117
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腫瘍崩壊症候群tumor lysis syndrome(TLS)は,細胞回転や増殖速度が速い腫瘍,(高腫瘍量で)治療に感受性が高いものに起こる。したがって,造血器腫瘍への化学療法で起こる合併症として知られているが,TLSは固形腫瘍でも発症し1),重症化すると致死的となり得る代謝異常である。
近年,有効性の高い分子標的薬治療2〜9),放射線治療10〜12),肝動脈化学塞栓療法後13〜15)などで発症報告が増えており,今後,その頻度は増加してくると予想される。治療効果が高いほど発症リスクが増すため,その管理は患者の予後において重大な問題である。また,治療開始前にすでにTLSを発症している場合もあり(spontaneous TLS16〜21)),適切な対応が必要である。
本稿では,日本と海外の臨床指針を参考に,実際の症例を挟みながらTLSのリスク評価や予防,管理について解説する。
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