特集 腫瘍
8.合併症(オンコロジックエマージェンシーを中心に) ①高カルシウム血症—カルシウムの「値」だけに囚われていないか?
橋本 典諭
1
Norisato HASHIMOTO
1
1東海大学医学部付属八王子病院 血液腫瘍内科
pp.667-671
発行日 2016年9月1日
Published Date 2016/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3103900115
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悪性腫瘍の経過中に生じる緊急性の高い病態を,オンコロジックエマージェンシーとよぶ。これには,高カルシウム血症,脊髄圧迫,腫瘍崩壊症候群,好中球減少性発熱,上大静脈症候群などが挙げられる。いずれも症状が非特異的で,初期段階では気づかれにくいことが多いにもかかわらず,診断や治療の遅れが,生命予後やQOLの維持に重大な悪影響を及ぼす点で注意する必要がある。
これらの患者は悪性腫瘍を担当している主治医のみならず,総合内科医や総合診療医,救急医を受診することも多く,すべての医師にとって,適切な鑑別と初期治療に関する知識を身につけておくことは極めて重要である。高齢化に伴ってがん患者は増加しているが,診断や治療法の進歩により,延命が可能になってきている。たとえ治癒が困難であっても,高いQOLを維持した人生を送る手助けをすることは,大きな価値をもつ。
本稿では,オンコロジックエマージェンシーのなかでも,高カルシウム血症に焦点を当て,基本的知識を整理しながら,カルシウム値の評価や治療に関する注意点にもふれる。
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