特集 腫瘍
【コラム】薬物関連顎骨壊死(MRONJ)—ホスピタリストにこそ見つけてほしい無症候性の多い病態
山口 典宏
1
Norihiro YAMAGUCHI
1
1Rockefeller University, Elizabeth and Vincent Meyer Laboratory of Systems Cancer Biology/Memorial Sloan-Kettering Cancer Center
pp.452-455
発行日 2016年9月1日
Published Date 2016/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3103900090
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薬物関連顎骨壊死medication related osteonecrosis of jaw(MRONJ)は,2000年代初頭に初めて報告された。これは,担がん患者に頻繁にビスホスホネートをはじめとする骨吸収抑制薬が使用され始めた時期に一致する。事実,ゾレドロネート静注製剤の臨床試験中に予想外の合併症として報告されたのが始まりである1)。
MRONJは,口腔内の疼痛などにより患者のQOLを下げるのみならず,必要ながん治療の遅延,骨吸収抑制薬使用の遅延による新規骨病変や,骨痛の増悪が生じ得る。にもかかわらず,完成したMRONJに対する治療は現状,標準化に足る効果を有していない。よって,予防の意義は大きく,ホスピタリストをはじめとする実地診療家の協力が欠かせない領域である。
本稿ではMRONJおよび,がん患者の口腔衛生について概説する。
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