特集 他科の知識1
コンサルテーション・リエゾン精神科集中講義 特別編
1.「難しい患者」とは—パーソナリティ障害患者と不定愁訴患者
吾妻 壮
1
Soh AGATSUMA
1
1神戸女学院大学人間科学部 心理・行動科学科
pp.788-790
発行日 2016年12月1日
Published Date 2016/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3103900071
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「難しい患者」(“difficult patient”)とは,一体どのような患者を指すのだろうか。「難しい疾患」という言葉の意味はよくわかるが,「難しい患者」という言い方の指すものは判然としない。この言葉は,難しい疾患を抱えた患者のことを指しているわけではないだろう。難しい疾患を抱える患者の多くは難しくない患者だからである。また,難しい患者が抱えている疾患が難しい疾患であるとも限らない。
「難しい患者」という言葉の「難しい」は,患者の身体状態というよりも,患者という人を説明する形容詞であろう。すなわち,疾患の重篤度,治療の難易度にかかわらず,患者という人そのものの「難しさ」のことを指している。
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