特集 呼吸器疾患2
【コラム2】サルコイドーシス—自然寛解も多い全身性疾患:肺の症状,病変を中心に
磯本 晃佑
1
,
横山 裕
2
Kosuke ISOMOTO
1
,
Yutaka YOKOYAMA
2
1神奈川県立循環器呼吸器病センター 呼吸器内科
2東京ベイ・浦安市川医療センター 呼吸器内科
pp.276-289
発行日 2017年6月1日
Published Date 2017/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3103900044
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サルコイドーシスは,肺,リンパ節,皮膚,眼,心臓など種々の臓器に,乾酪壊死のない類上皮細胞肉芽腫を形成する全身性疾患である1)。1894年にBoeckが顔,背中,手足の隆起性結節と鼠径部リンパ節腫脹をもつ患者の症例報告において“multiple benign sarcoid”(sarco=肉,oid=類似な)と表現したことが病名の由来である。病因に関しては,1869年に本症の皮膚病変がHutchinsonによって見いだされてから現在に至るまで解明されていないが,遺伝的に疾患感受性のある宿主が,特定の抗原に曝露されて誘導されるTh1に起因すると考えられている2)。抗原の候補としては,特定の職業や環境3〜5),Mycobacterium tuberculosis6〜8),Propionibacterium acnes感染9)などが提唱されている(表1)。
本稿では主要症状から診断,検査を中心に概説する。
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