カラーグラフ 皮膚病変のみかたとらえ方
サルコイドーシスの皮膚病変
石川 英一
1
,
渡辺 剛一
1
1群馬大学医学部・皮膚科
pp.1400-1401
発行日 1986年8月10日
Published Date 1986/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402220497
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概念,臨床
サルコイドーシスは2つ以上の臓器に亘ってみられる非乾酪性類上皮細胞肉芽腫をいい,主病変は肺,リンパ節,皮膚,眼,骨などに見られる.皮膚病変は,1)結節性紅斑,2)瘢痕浸潤,3)皮膚サルコイドに分けられる.結節性紅斑は皮下脂肪織の急性炎症で,種々の病因でおきる原則として非特異的な皮膚病変である.瘢痕浸潤はサルコイドーシスの活動期に皮膚瘢痕部が腫脹する病変をいう.皮膚サルコイドはサルコイドーシスそのものの皮膚病変を指す.皮膚サルコイドは臨床的に結節型,局面型,びまん浸潤型,皮下型,苔癬様型などに分けられる.皮膚症状は一般に亜急性の経過をとるサルコイドーシスに観察されることが多い.結節性紅斑,瘢痕浸潤は発病初期に出現し,比較的急性の経過を辿るのに対し,皮膚サルコイドは一般に肺病変よりも遅く出現,慢性,持続性の傾向がある.
結節性紅斑:サルコイドーシスの発病初期に両側下腿に有痛性浮腫性の紅色結節が,発熱,関節痛とともに出現する.臨床的に他の原因で起きる結節性紅斑と鑑別が困難で,他臓器にサルコイドーシス病変が出現して初めて診断できることが多い.組織学的に皮下の炎症細胞に混在して,類上皮細胞肉芽腫の像をみる.
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